味覚の変化
-味覚の変化-
お酒を覚えたての頃のぼくは、野菜や刺身以外の魚は滅多に食べませんでした。圧倒的な肉派で、焼き肉屋やバーベキュー時には特にホルモン焼きを好んで食べていました。
40歳を超えた今でもホルモン焼きは大好きですが食べられる量はだいぶ減り、野菜やセンマイ刺しなどをつまみにビールを煽ります。そういう意味ではレバ刺しが焼き肉店から消えてしまったことは残念でなりません。食の安全が保証され、いつの日かの復活を願うばかりです。
若い頃はもっぱらのビール党で、家呑みでも居酒屋に行ってもビールを呑み続けていられました。20代半ばからは焼酎を覚え、30代ではワインを好み、40代を目前にしたときから、なぜか今まではあまり好まなかった日本酒を飲むようになりました。
食べることが大好きで、つまみや食事に合わせてお酒を選ぶことが楽しみなのですが、最近日本酒を多く飲む傾向にあるのは、日本酒に合うつまみを好むようになったというわけです。
振り返ってみると、食の好みは本当に変わっていくのだな、と実感しています。
突然、今日は無性に○○が食べたいなあ、なんて思うことありますよね?
そうなると、もうそれを食べずにはいられなくなってしまって……時間が遅かろうが、お店が遠かろうが絶対に食べてしまうことってあると思います。
そしてその感覚は、日頃からよく食べるものがほとんどであって、あまり好んでいないものは浮かんでこないと思います。
しかし、3年ほど前に突然欲した食べ物は、ひじきの煮物だったのです。
自分でも意外でしたが、そうなるとどうしても食べたくなってしまいましたが、自分では作ったことがなかったので、妻に作れないか聞いてみました。ところが妻も作ったことがなく、「そういうことならお義母さんに頼んじゃおうか」とおどけた顔をされたので、母親に頼んで作ってもらいました。
この日、どうしてこんなに美味しいものを今まで好んでいなかったのだろうと感じました。
そこで気づいたのですが、それまでは魚は煮付けより塩焼き、鍋は水炊きばかりでおでんは皆無でした。要するに、砂糖が入った味付けのものは好んでいなかったのです。
この味覚の変化は驚きでした。
時期を同じくして、日本酒を欲するようになったのです。
やっぱり煮物には日本酒が合います。この日は宮城県の純米酒『浦霞』を冷やで頂きました。
多くの歓評会でも受賞歴があり、煮物の甘みを引き立たせるすっきりとした味わいがとても美味です。
妻も喜んでひじきの煮物を食べていました。
味覚の変化が、母親の手料理に感謝をさせてくれました。
末永くこの味を楽しみたいなと思った時間でした。
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